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歌舞伎「新選組」観ました。

今年の夏、ごく一部の人たちの間で話題となっているのが、歌舞伎座で新選組を
主役にした舞台が掛かることでした。
手塚治虫原作の漫画「新選組」を舞台化した新作歌舞伎。歌舞伎ファンの中で、
また新選組ファン、手塚漫画ファンの中で早くからSNSでも盛り上がっておりました。
ワタクシ、その三つのカテゴリーのいずれにも属しておりますので、こりゃ観ないワケ
には行かないと、先日観劇して参りました。

歌舞伎座2022年8月⑤a

実はワタクシ、手塚先生のこの「新選組」という作品は未読であります。昭和38年
(1963)に「少年ブック」1月号~10月号に連載されていたということで、ワタクシの
生まれる前の作品。手塚治虫全集で見かけたことはあるような気がするのですが、
読んではおりません。
この漫画を読んだ中村勘九郎さんがぜひ舞台化したいと思い立ち、従兄弟である
中村福之助、歌之助くんの若手兄弟を主演につけた、というのがワタクシの聞いている
流れです。福之助、歌之助兄弟の父は中村芝翫さん。芝翫さんと勘九郎さんは従兄弟
です。勘九郎さんは勘太郎時代に大河ドラマ「新選組!」に出てますね。

さて、物語は深草丘十郎(歌之助)と鎌切大作(福之助)という二人の若い隊士が主役
です。父親を土佐藩士に殺された丘十郎が近藤勇に誘われ新選組に入隊。そこで
大作と知り合い友人となります。その後、友情や復讐への疑問、別離など、原作の
少年マンガらしいテーマがふんだんに描かれるという内容です。
丘十郎と大作は架空の隊士で少年剣士という設定。手塚先生自身がこの作品を
「いたってフィクショナル」「異次元の世界の新選組物語」と語っているようで、話の展開
はエンタメに徹した作りになっています。

歌舞伎座2022年8月④a
劇場前の看板も、通常の鳥居派とはちょっと違うタッチの絵

では観劇後の感想をつらつらと。
全体を覆っているのは、新選組というよりも手塚治虫漫画に対する圧倒的なリスペクト。
舞台の背景に使われている書割りが、まさに手塚漫画の背景そのもの。草原の風に
なびく草、雪をかぶった松、大海原の描写など、よくまぁココまで手塚タッチを模写した
なぁと、感心しました。
さらに随所に見られる手塚キャラまつり。
あまり言うとネタバレになりますが、ブラックジャック、ヒゲおやじ、ピノコ、三つ目、アセ
チレンランプが登場。お座敷の襖には火の鳥が描かれ、長唄で鉄腕アトムが流れる
といった具合です。

主演の二人ですが、さすが兄弟だけあって息の合った掛け合いを見せてくれました。
ただ、殺陣のシーンにぎこちなさがあったかな。まぁ、通常の歌舞伎と今回の芝居の
立ち回りは全く違う形だったので、仕方のない部分はあるでしょう。それ以外は花形
歌舞伎(若手中心の芝居)らしく、初々しさを感じた良い芝居でした。
勘九郎が近藤勇、七之助が土方歳三。普段は女形の七之助の土方はちょっと意外な
キャスティング。勘九郎は大河の藤堂平助から出世ですねw
最近知名度が爆上がりの坂東彌十郎が芹沢鴨。これが良かった!体が大きいので
押しが効きます。時政で彌十郎を知った方は必見よ。

歌舞伎座2022年8月②a
座席は1階の一番後ろ。花道をハケる演者を最後まで見られます。

課題としては・・・。
史実と違うのはエンタメだから良いんですが、それでも新選組が人斬り集団という部分
で語られていて、ファンの方々はどう受け取ったのかなぁと思いました。
ただし、これは原作がそうであり、それに忠実に従ったということはあるかもしれません。
まぁ、ワタクシ原作は未読なのでわかりませんけども。
先ほど書いたように原作は昭和38年の作品。すると、新選組に関する研究も今ほど
解明されてないでしょうし、一般的には新選組=人斬りは大方の人の認識だったのかも
知れません。鞍馬天狗などの時代劇では完全なヒールですもんね。
「新選組血風録」がドラマ化されるのが昭和40年ですから、それよりも前の漫画です
もんね。(ちなみにドラマの新選組血風録は斎藤一が箱館に渡ってたりする)

それと漫画をリスペクトする余り、原作を追っただけの展開と言えなくもないような印象
も受けました。例えば、仏南無之介(演じたのは福之助、歌之助の実兄中村橋之助)と
いう侍が出てきますが、原作に出てくるキャラなので出しましたみたいな薄い印象なん
ですよね。わりと大事なヒールキャラだと思うので、もっと描きこんで欲しかった。
ほぼ唯一のヒロインで丘十郎の命を狙うお八重(中村鶴松)が丘十郎への気持ちを
変える過程もちょっと唐突。
これらは全て、上演時間が短かったことが原因でしょう。コロナ禍で歌舞伎座は現在
三部制で行われており、「新選組」は一部での上演でしたが。もう1本「闇梅百物語」と
いう所作事の芝居との2本立てだったため、上演時間が1時間ちょっとだったんですよね。
原作通りに作るなら、これはちょっと短いなと思いました。

とまぁ、好き勝手に言わせていただきましたが、トータルとしては面白かったです。
元々、新選組をテーマにした歌舞伎芝居があってもいいんじゃないかと思っていました
ので。先ず若手を中心に漫画原作というファンのすそ野の広い題材でできたことは
とても良かったと思います。
ワタクシは持論として、歌舞伎はどんどん新作を作っていくべきだと思っています。
古典を守りつつも、さらに進化していかなければ「生きた舞台」は作れません。そもそも
江戸時代の歌舞伎が新作の連続だったワケですから。
ただ、新作歌舞伎は再演されることが少ないのが惜しいところです。
ぜひ手塚版「新選組」も再演を。そして「新選組血風録」や「新選組始末記」あたりを
原作に、もう一丁お願いいたします。

歌舞伎座2022年8月③a
実は今月の歌舞伎座の目玉は三部の「弥次喜多流離譚」。
東海道中膝栗毛を原作に、猿之助と幸四郎がギャグ満載のドタバタを繰り広げる
シリーズものの新作歌舞伎。これも観たかったんだけどチケット取れなかった。。。

「なんだー。このボタンちょっと押してみるんだな。うーん、なんだー。」



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[ 2022/08/14 ] 番外編 | TB(0) | CM(2)

手塚治虫の「新選組」

私は柄にもなく、萩尾望都先生の漫画が大好きで、
「11人いる」や「トーマの心臓」
「銀の三角」(あと「半身」ね」)なんぞ読むたび、
世の中にホント天才っているもんだなと思ってた口なので、
手塚治虫「新選組」と言えば、萩尾先生が漫画家になろうと思った原点の傑作として、脳内にインプットされています。
もちろん原作は読んだことがないのですが。(なんでも藤堂を斬らなきゃならない、というシーンに萩尾先生が、グッと来たと何かの媒体で読みました)

ただ、それが「歌舞伎」という形になった時、正直言って歌舞伎そのものを見慣れていない自分には「分かる」ことができないと、本当に残念ながら思います。
一方でそれを見取れる目を持ってるイッセーさんが、こんな風にリポート形式にして書いてくださることは、本当に有難く、物凄く嬉しいです。ああ、やっぱすごい作品なんだなあ、って(見てもないけど)再認識させられました。

あと、坂東弥十郎さん。
大河で始めて知った人ですが、いつも存在感、演技力が群を抜いて物凄い。
この方の舞台が生で見られるだけでもすごいことですね。

[ 2022/08/29 22:53 ] [ 編集 ]

甚左衛門さま

手塚治虫先生の「新選組」が萩尾望都先生の漫画家きっかけの作品だったとは、知りませんでした。今回の舞台では藤堂平助に関するエピソードは省かれていましたので、原作はより詳細に描かれているのでしょうね。
「新選組」に限らず、新作歌舞伎・・・例えば猿之助のスーパー歌舞伎や、近年で例を上げれば三谷幸喜の「月光露針路日本 風雲児たち」、蜷川幸雄の「十二夜」などは歌舞伎の知識が全く無くても、一般の舞台演劇として観られるので分からないということはないですよ。
よろしければ一度、ご覧になってみてください。

彌十郎さんは、亡くなられた勘三郎さんや三津五郎さんらと同年代で、彼らとよく一緒の舞台に出ていました。身体が大きいのでよく目立ち、悪役から三枚目まで何でもこなす名バイプレイヤーとして昔から好きな役者さんでした。
以前からテレビや映画に出演したら絶対に人気が出るのに、と思っていましたが、その通りになりましたね。
[ 2022/08/30 11:20 ] [ 編集 ]

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