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血梅(ちばい)

桜の開花はまだもう少し先ですが、梅は見ごろの時期を迎えております。
我が家の庭の紅梅も七分咲きといったところでしょうか。
この紅梅について、先日父親から意外な発言を聞いたのであります。

「ウチの紅梅『血梅(ちばい)』っていうらしいよ。知ってる?」
「ええええーーッ!?」

一瞬、我が耳を疑いました。ち、血梅ですと・・・?
そんなバカな!そんな梅の木が我が家の庭にあるなんて、考えられない!
いや、待て。ウチのオヤジは時々とんでもない嘘をつく。
「お父さん、長嶋と友達通して知り合いだからさ。柴田のサインなら今度貰ってこ
よう。新浦がいいか。」
子供の頃、何度騙されたことか!年齢が近いし、父の友人が立教に行ってた
らしいから、なんとなくリアルな所を突いてくるのだ。
ただ・・・。
「ウチの庭の手入れをお願いしている植木屋のF川さん、あの人が八王子で
手に入れたらしくてさ。いい梅だっていうんで、数年前に買ったんだよ」
という話を聞き、これはもしや・・・と思い直しました。

関家 血梅2a
庭の紅梅。はたして血梅なのか・・・?

さて、そもそも血梅とは何ぞや?とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
血梅とは、新選組局長近藤勇が大変愛でたという紅梅なのです。
まだ近藤が京都に行く前、試衛館の道場主だった頃。ある日、八王子千人町の千人頭
石坂弥次右衛門を訪ねます。同じく千人同心で石坂の組の世話役だった日野宿井上
松五郎(後の新選組副長助勤・井上源三郎の兄)の案内だったといいます。おそらく
剣術談義などしたのでしょう。
近藤がふと庭に目を向けると、石坂家の庭の紅梅が花を咲かせていました。あまり派手
ではなく慎ましやかに咲くこの梅を近藤はたいそう気に入りました。すると石坂も嬉しかった
とみえて「それでは後日、接ぎ木か取り木をして贈りましょう」と約束を交わしたのです。

この紅梅が血梅です。
その名の由来は、枝を切ると中は血がにじんだように真っ赤だからとのこと。

しかし、皆さんもご承知の通り、その後近藤は京都へ行き新選組を結成。再び石坂の
家を訪れることはなく、慶応4年(1868)4月25日に板橋で刑場の露と消えます。
また石坂の運命も過酷なものでした。
同じく慶応4年閏4月。千人同心(その頃は千人隊と改称)の勤めとして日光勤番に
出ていると、新政府軍がやって来たので東照宮を戦火に巻き込むわけにもいかず、
無血にてその場を引き渡し八王子に帰ります。
ところが、戦わずして東照宮を官軍に引き渡したことへの責任を追及する声が高まり、
そのプレッシャーに耐え切れなくなった石坂は切腹してしまったのです。

明治維新後、石坂家は八王子を離れます。近藤と弥次右衛門が愛でた血梅は千人
町の石坂家の隣家にひっそりと残されていたと云いますが、昭和20年(1945)の
八王子空襲で被災し、焼けてしまったのでした。
ところが生命の力とは強いもの。
やがて黒焦げになっていた血梅の幹から新たな芽が出て、花を咲かせたのです。
その後、八王子の佐宗文雄さんという方がこのオリジナルの血梅から接ぎ穂をして
次第にその数を増やしていったとのことです。

日野市の大昌寺の近くに「ちばい」という蕎麦屋さんがあります。
ちばいとは即ち血梅。お店の庭に血梅が植えられ、そのまま店名になっているの
です。このお店のご主人のお父様が谷春雄さんという新選組研究の第一人者で
あったことから、佐宗さんから血梅の木を贈られたとのことです。
ワタクシもこのお店で初めて血梅のことを知りました。

ちばい
「そば処 ちばい」
外観はホントにふつうの住宅なので見つけにくいですが、蕎麦は美味しいです。

ということで、植木屋のF川さんが八王子から入手したということであれば、我が家の
紅梅も佐宗さんが増やした血梅の子孫の1本の可能性はあるのかな。
試しに小枝を1本切ってみますと、

関家 血梅4a

うっすらと赤い。写真だとわかり辛いですが、実際はもうちょい赤めです。
・・・ただね、別の植木屋さんの言うことには「紅梅の枝は切るとたいてい中は赤い」
とのことだそうです。

果たして我が家の紅梅は石坂弥次右衛門が愛し、近藤勇が誉めた血梅の子孫
なのか?
・・・まぁ、いいや。
血梅であったとしても、そうじゃなかったとしても、この梅が我が家の庭にきたのは
何かの縁。
毎年、血梅にまつわるエピソードを思い出し、ワタクシも愛でることにいたします。


石坂弥次右衛門墓
石坂弥次右衛門義禮の墓 八王子市興岳寺
水鉢は日光市から贈られたもの。


「なんだー。このボタンちょっと押してみるんだな。うーん、なんだー。」



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[ 2022/03/06 ] 我が東大和市 | TB(0) | CM(0)

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