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幕末の銃砲展①

12月19日に神保町アカデミーの講座がありまして、それが年内最後の講座
でした。そこまでは、ちょい忙しかったものでブログもお休みしておりました。
で、その間ずっと気になっていましたのが日野市立新選組のふるさと歴史館で
開かれていた「戊辰戦争150年 幕末の銃砲展」でありました。

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展示終了のギリギリガールズになってしまいましたが、ようやく時間ができたので観に
行ってまいりました。

特別展は常設展との共通料金で200円。展示は2階です。
歴史館に足を運ばれた方はご存知かと思いますが、2階展示スペースはそれほど
広くはありません。
しかし、今回の展示資料の濃密さといったら!
特別展のタイトルに偽りナッシングの幕末銃砲類の多さ。同時代史料、そして解説板
など目をみはる内容です。
しかも、一部の資料を除いて写真撮影可という太っ腹。
ワタクシ、元祖カメラ小僧・篠山紀信が南沙織を撮るがごとく、ゲベールちゃんたちを
撮りまくってまいりました。ま、スマホですけど。

今まで本を読んでいても分からなかったことも、理解できたところがあったのが、何より
の収穫です。
というコトで、その一部をご紹介。

ゲベール銃 ミニエー銃
上段がゲベール銃。下段がミニエー銃です。
鳥羽・伏見の戦い辺りでは主力になった銃ですね。
ところでこのミニエー銃は「再生ミニエー」だそうです。ミニエー銃は南北戦争終結で
大量に余ってるところを「これ、日本にだったら売れんじゃね?」てことで高っかい
値をつけて外国は幕府や諸藩に売ったワケです。
藩によっては少しでも安い銃を買いたいってのもあったのでしょうね。壊れた銃を
買い取り、それを修理して使ったらしいんですね。それが再生ミニエー銃。
事故車をニコイチにするみたいなモンですな。

ところで、ミニエー銃というのは「先込め式ライフル銃」で、おフランスのミニエーさんが
発明した銃のこと。その後、各国の工場で同様の銃が作られるようになり、イギリスで
作られた銃はエンフィールド銃。アメリカで作られたのはスプリングフィールド銃と呼ばれ
ます。この名称は作られた造兵廠(ぞうへいしょう)から取られています。
これらの銃は銃身の中のライフル(螺旋)の数が違うくらいで、特殊なモノ以外は外見
では製作造兵廠の刻印がない限り、その違いはわからないそうです。
なので、研究者でもない限り、エンフィールドだろうがスプリングフィールドだろうが、
奥様方が日々の会話の中で話されるならミニエー銃とまとめて言っても構わないでしょう。
「あら、奥さまのミニエー、ちょっとステキ」「でしょ?英国製ですのよ。ホホホ・・・」

ミニエー弾
ミニエー銃の弾丸は椎の実弾とか、プリチェット弾とか表記されますが、呼び方を色々
言ってるだけで、全て同じモノだそうです。
先が細くなった砲弾型で、お尻の部分に窪みがあるのが特徴。銃の口径よりも小さく
作ってあり、銃口の先っちょから入れるのが簡単。弾丸のお尻には窪みがあって、そこ
にコルクで詰め物をしています。発射時のガス圧でそれが膨張し、銃身に密着して回転
しながら飛んでいくということですな。
写真の弾丸は頭の部分が平になってます。これは不良品ではなくて、こうすると射程距離
と貫通能力は劣るのですが、かえって弾丸が体内に残りダメージを多く与えるという
恐ッそろしいタイプです。「その弾丸、アカンやつやッ!」

スナイドル銃①
スナイドル銃②
写真が後ろの銃と重なって、分かり辛くてスミマセン。
元込め式のスナイドル銃です。アメリカ人のスナイダーさんが作ったので英語読みを
すればスナイダー銃になります。当時の日本は英語よりまだまだオランダ語の方が
馴染みがあったのでしょうかね。

ここで、学芸員さんから教えていただいた元込め銃の歴史について。

世界で最初に大量生産が可能な元込め銃として開発されたのは、プロイセンのチュント
ナーテ・ゲベーア銃。通称ドライゼ銃です。
ところがプロイセンはこのドライゼ銃を1836年に作ったもののなぜか極秘扱いにして、
ずっと黙っていたのだそうです。で、30年後に勃発した普墺戦争(プロイセンVSオース
トリア)で初使用。周りを「聞いてないよぉ!」と言わせました。
元込め銃になると弾丸も変わってきまして、それまで別々に装備した弾頭・火薬・雷管
を一つにまとめた「薬莢」を使用するようになります。

イッセー「ナポレオンが幕府に贈ったというシャスポー銃は・・・?」
学芸員「アレも元込め銃ですね。ただ、ドライゼもシャスポーも紙薬莢なんです。だから
     湿気に弱いのが弱点だったんです。排莢作業はいりませんが」
イッセー「スナイドルは金属薬莢でしたね(写真参照)」
学芸員「元込め銃が出てくると、それまでの先込め銃は全く不利になります。大量に
     余ったミニエー銃をなんとかしろと、軍が懸賞をかけまして。で、スナイダー
     という人がミニエーの改造型として発明したのがスナイドル銃です」
イッセー「なるほど!スナイドルの銃弾装填口は、ミニエーの形そのままですね」
学芸員「ミニエーを改造すればできたので、スナイドルはすぐに普及したんです。
     ドライゼやシャスポーはすでにボルトアクションだったんですけどね。で、
     1870年頃にシャスポーを金属薬莢式に改良しまして。これが初代の村田銃
     (日本陸軍最初の国産銃)に繋がっていくのです」
イッセー「ところで、よく映画やドラマで敵兵の残した弾を拾って、自分の銃に使ったり
      してますけど、弾丸の互換性はあったんですか?」
学芸員「ないですね!どの銃も作られた工場によって口径はバラバラなんですよ。
     そのうちに規格ができてきたと思うんですけど、戊辰頃はないですね」

この企画展担当のMさんという学芸員の方、とても親切に教えてくれまして。
どうも長々とお聞きしてスミマセンでした。
ありがとうございました。

長くなりましたので、以下次回。

※日野市立新選組のふるさと歴史館の「戊辰戦争150年 幕末の銃砲展」は
12月24日に終了しております。


「なんだー。このボタンちょっと押してみるんだな。うーん、なんだー。」



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コメント一覧

#1637 ミニエー銃
ミニエー銃想像以上に怖いものですね。
その原理、ほんまあきません。(悪魔のような原理ですわ。)

たしか「フラムベルジュ」とかいう刀剣も、刃にウネウネの模様がついていて、「肉をえぐる」とか。
異人さんの考える物はどれもエグいですな。


「ギリギリガールズ」もうぎりぎり、私のごとくアラフォー世代にしかわからない単語になってしまいましたね。
#1638 甚左衛門さま
もう年内のお仕事は終わりましたでしょうか?
今年一年当ブログにお越しいただき、ありがとうございました。

椎の実弾は、今まで少しづつ形が違うものを見てきたのでどうしてなんだろうと思っていたのですが、銃製造メーカーによってバラバラだったということで疑問が氷解いたしました。
中にはこういうアカン弾丸もあったのですね。
そこまで敵にダメージを与えなくても、と思うのですが、「こっちの武器はスゲーんだぜ」という威嚇の意味もあったのでしょうか。

ギリギリガールズへのリアクション、ありがとうございます。
この次はシェイプアップガールズを織り交ぜてお送りいたします。
#1643 No title
イッセーさん、
今年も宜しくお付き合い願います。

専門的な記事に軽妙な可笑しさも混ぜていい味だしてますね。私も見習います。
#1644 京一朗さま
ありがとうございます。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

喜んでいただけまして光栄に存じます。
京都には行きたいと思っても、なかなか行けません。見どころがたくさんあるので、いずれゆっくりと回りたいと思います。

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