新選組漫画 193 朝涼忌と伊庭八郎

前回記事の最期にもチョコッと触れましたが、5月に行ったもう一つのイベントのお話。
それは27日に行きました朝涼忌です。
朝涼忌とは、戊辰戦争で活躍した佐幕側の幕臣・伊庭八郎の法要であります。

なんて、よく知っているような口ぶりですが、実はワタクシ朝涼忌なるものがあることも
今年になるまで全く知りませんでした。
5月13日のひの新選組まつりで、Twitterのフォロワーさんに会い「こういうのがあるよ」と
教えていただき、初めて知ったという次第。、

ところで、伊庭八郎とはなんぞ?と思われている方もいらっしゃることでしょう。
我が家のポンちゃん(雄猫5歳)も退屈そうに身体を舐めまわしておりますので、彼にもよく
わかる程度にちょっと解説。

伊庭家は「心形刀流」という江戸時代前期に成立した剣術の宗家で、八代目軍兵衛は
時の老中水野忠邦に抜擢され、門弟数千人を抱えた剣豪でした。心形刀流は幕府の
武術学校である講武所に採用されます。八郎は軍兵衛の息子で、講武所で腕を磨き
メキメキと力を上げました。
講武所では剣や鎗に優れた者を抜擢し、将軍の親衛隊である奥詰を組織します。さらに
慶応2年(1866)の軍制改革で、奥詰は銃の訓練も義務付けられ遊撃隊と名乗る
ようになりました。八郎は21歳の若さで奥詰採用となり、その後遊撃隊に配属されます。

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かなりリアルに描かれた伊庭八郎さん。
ご覧の通りのイケメンなので当時も、今も女子人気高し。

戊辰戦争が勃発したとき、八郎らの遊撃隊は伏見に布陣していたので薩長軍と戦闘になり
ました。
この戦いで八郎は胸に銃弾を受け倒れます。一命はとりとめ、江戸へ帰還した八郎ですが、
恭順派などには目もくれず、ひたすら徹底抗戦を貫きその後を戦い続けます。
遊撃隊は隊員が減少していましたが、八郎と京都二条城の幕臣・人見勝太郎の二人が
隊長となって新たに遊撃隊を編成。そこへ岡崎藩や館山藩などからの兵も加えて300人
以上の軍団へとなっていきました。
中でも注目されるのは、上総請西藩の脱藩大名林忠崇が同志60余名と共に参加している
ことで、遊撃隊はこんな濃ゆいメンバーも顔を連ねたのであります。

歴史的に見れば、戊辰戦争を戦った佐幕・奥羽越列藩のみなさんは劣勢を強いられ、大変
な戦いをするわけですが、中でも伊庭八郎ほどすさまじい人生を送った人はいません。
遊撃隊は新政府軍を小田原で止めようと出陣しますが、箱根で戦闘に突入。八郎は腰を
撃たれ、さらに左手を深々と斬られてしまいます。左手首がブラブラになるくらいの重傷
でしたが、八郎がスゴイのはその態勢から右腕一本で相手を斬り伏せ、その勢いで地面の
石も叩き斬ったというのですから、驚きます。
結局、左手は肘から下を切断しなければならなくなりましたが、手術のときも麻酔ナシで行っ
たとか。昔の人はどんだけ痛みに強いんだか。八郎さんだけ?
その後、遊撃隊は榎本海軍に合流して仙台を目指し出航するのですが、すぐに嵐に遭遇して
しまい、八郎の乗っていた美香保丸は座礁、沈没してしまいます。しかし、ここでも九死に一生
を得た八郎は、逃避行を重ねながら、なんとか外国船で密航をし箱館にたどり着くのです。
恐ろしきかな、その執念。

箱館で八郎は蝦夷共和国陸軍の大隊長として戦線で戦い続けます。「真に豪勇、片腕にても
一騎当千の由」と云われましたが、明治2年(1869)4月20日に胸部に銃弾を受け倒れます。
弾丸は胸に留まった状態で摘出もできず、ついに服毒し安楽死が選ばれました。
享年26歳。
正確な死亡日はわからないらしいのですが、土方歳三が亡くなった5月11日の翌日と書いて
あるものが多いですね。

さて。というわけで朝涼忌です。
この法要を主催しているのが「伊庭八郎の会」という団体と、八郎のお墓がある貞源寺だと
いうのがわかりまして、法要の行われる15時の少し前にその貞源寺に行って参りました。

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実は貞源寺もどこにあるのか知らなかったのですが、「伊庭八郎の会」のTwitterから
西武新宿線の沼袋駅が最寄りであることを知り、「なんだ、案外近かったんだ」と今さら
ながら驚きました。東大和市から電車一本で行けるんじゃん!
もっとも、貞源寺さんは元々浅草の方にあって、関東大震災後に沼袋に越してきたと
いうことです。

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駅から歩いて7分くらいですが、住宅地の真ん中にあって、周りに目印になるような
建物などがないので、ちょっと迷います。

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永康山東正院貞源寺。浄土宗のお寺です。
こちらの本堂で伊庭八郎さんの法要が行われました。今年は150回忌です。
その区切りの年に、初参列。
受付を済ませて、まだ時間があったので先にお墓にお参りしました。

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逆光で黒い石柱にしか見えませんが、「伊庭八郎の墓」であります。
墓域の入口のところに、伊庭家一族の墓が並んであり、その中にあります。
それにしてもこの写真・・・むぅ、今度もうちょっといい写真を撮りに来よう・・・!

ご住職の読経と、参列者の焼香で法要は無事に終了。
その後、境内にて心形刀流の方々による演武が行われました。

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なかなかの迫力!
北辰一刀流、神道無念流、鏡心明智流を、幕末の剣術三大流派といいますが、当時は
心形刀流を加えて四大流派と呼ばれていたんだそうです。
それがなぜいつの間に三大になってしまったのか・・・たぶん、心形刀流を学んでいたのは
幕臣が中心だったからじゃないですかね。明治以降に除けられてしまった可能性が高いと
思われます。

演武を観て終了・・・となったのですが、その後、お寺の談話室のような場所で懇親会をする
とのこと。
ワタクシ、あまり伊庭八郎に詳しくないので、みなさんについていけないだろうと思い、そのまま
帰るつもりでいたのですが、「幕末がお好きな方なら、ぜひどうぞ!」とお誘いを受けまして、
そのまま懇親会に出席してしまいました。

伊庭八郎は、土方歳三や坂本龍馬あたりと比べればそれほど知名度のある人物ではありま
せん。なので、そのファンであればかなりマニアックなゴリゴリの話ばかりが出るのでは、と
身構えていたのですが、これがいい意味であっさりと裏切られました。

なんともビックリするくらいのアットホームな懇親会。
テーブルの上に並べられた料理はおつまみ程度のものと思いきや、ご住職や奥様の手作り
料理ときのこ飯。さらには先ほど境内でグワングワン刀を振っていた心形刀流の師範自らが
作った餃子鍋がいっぱい!

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餃子も市販のを使うのではなく、目の前で師範が一つ一つ作りながら鍋に投入。
こんなアットホームな懇親会は、なかなかお目にかかれません。
(ちなみに写真のコースターは伊庭家の家紋らしいのですが、何という家紋でしょう?
お分かりの方、教えてください。)

実はワタクシも含めてですが、参加者の中には新選組ファンの方も多く、伊庭八郎に
限らず戊辰戦争、佐幕の話で盛り上がりました。
ワタクシも道場の方に心形刀流のことをずいぶん教えていただきました(→後にTwitter
で繋がらせていただきました)。それと、参加者の中に当ブログを読んでいただいてる方
がいらっしゃいまして、そんな出会いも嬉しかったです。

「伊庭八郎の会」会長さんとも大いに語りましたが、会の方々が目標としていることを聞き
まして。で、それは何かといえば・・・
伊庭八郎を大河ドラマの主役に!
なのだそうです。
実際にリクエストを送ったそうなんですよ、会長さん、NHKに。
まぁ、結果はまだ成果を見てないのは周知の通りですが、NHKによると大河主役の条件の
一つに「一ヵ所にとどまらなかった人」ってのがあるらしく、「だったらハチ(八郎さんのこと)は
条件にピッタリですよね!」と熱く語ってくれました。

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ワタクシは以前から、江川太郎左衛門を大河の主役にッ!と言っているので、ハチさん
とはライバルになってしまいますが、伊庭八郎が主役のドラマは確かに見てみたい気が
します。
でも、痛々しくて見てられないかも・・・!
ちなみに、昔、スペシャル時代劇「五稜郭」で舘ひろしが伊庭八郎を演じたそうですよ。

ところで、庄内で清河八郎を大河ドラマの主役にしようという運動が立ち上がったと聞き
ました。同じ八郎なら、ここは断然佐幕派としてイバハチさんの方に肩入れします。
キヨハチさんのドラマじゃ、近藤勇は「時局をわからぬ愚か者め!」扱いされそうだし。

そんなこんなで、朝涼忌。
来年もまた行きたいと思います。

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明治の浮世絵師、大蘇(月岡)芳年の描いた伊庭八郎。
なぜか名前は「伊場七郎」に、斬られた腕も右腕になっております。
この絵が描かれた頃はまだ、幕軍方をそのまま描けない空気があったのでしょうか。



「なんだー。このボタンちょっと押してみるんだな。うーん、なんだー。」



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#1600 無尽
はじめまして。市内在住、立34の大熊猫と申します。
朝涼忌。すてきな会に参加なさいましたね。
伊庭さんといえば、お聞き及びとは思いますが、岡田屋鉄蔵さんの『無尽』という漫画作品が現在描かれています。今月30日には、第5巻が出ます(月刊誌の連載なので、なかなか先に進まない)。この作品での描かれ方も、なかなか良いです。
朝涼忌は、私も来年は参列させていただきたいと思いました。では、次回ブログ更新を楽しみにしております。
#1601 立34の大熊猫さま
ありがとうございます。
朝涼忌は初めての参加でしたが、懇親会も含めとてもすてきな集いでした。特にお寺が全面的にこのイベントにバックアップされているので、八郎さんも喜んでいることでしょう。
大熊猫さんも、来年はぜひ参加してみてください。
#1602 管理人のみ閲覧できます
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