農兵書上帳 蔵敷村の場合

前回の記事では、文久3年(1863)11月に出された江川代官支配地域(武相)の、
農兵取立て人数の見積もりを各組合ごとにご紹介しました。

組合とは以前にも取り上げましたが、防犯のための自衛組織である寄場組合(改革組合)
のことです。東大和市域(芋窪村を除く)は所沢村組合に入っています。

ところが、この農兵政策下では組合が再編されたようです。
東大和市域の村々は上新井村組合に入りました。

さらに代官所からは次のような命令が出ていました。
「里正日誌」には「御書付之写」として、以下が記されています。

「それらの村々は所澤村組合に入っているが、この度の御用筋(農兵策)では他の
支配組合では不都合の次第もあるので、その村々限りの組合を作ると心得て、御用
の筋のことがあれば下田半兵衛より承ること。詳細については、近々に廻村するので
そのときに申し談じるべきこと。
   文久3亥11月2日                         柏木摠蔵 印
                    所澤組合
                    当支配所
                      村々 役人中                     」


下田半兵衛というのは、当時の田無村の名主です。
つまり、農兵を組織するにあたって所沢組合のままでは支障があるので新しく組合を
作る(これが上新井村組合)。しかし、命令伝達は田無村組合から出るので、それに従い
なさい、と、こういう話です。
田無村組合が狭山丘陵から東側一帯を取りまとめる役目を負っていたのでしょうか。

さて、前回の記事で上新井村組合に入った村々は21ヶ村であり、そこから取り立てる
農兵は25人という見積もりであったことをご紹介しました。男性人口の0.8%にあたる
数字です。
「里正日誌」が書かれた蔵敷村では文久3年のこのとき、2名の農兵候補者が立てられた
ようです。

「文久3亥年11月 農兵書上帳 
                          上新井村組合 21ヶ村

一 高8石7斗8升
   家内8人暮らし      多摩郡蔵敷村 百姓武左衛門倅 佐吉郎 亥37歳

一 高18石2斗2升
   家内8人暮らし      多摩郡蔵敷村 百姓銀右衛門倅 𣳾蔵 亥20歳
   『他の村々は略する』(朱書き)

一 正月 二月 三月 十月 十一月 十二月
   右6ヶ月は農閑期でございますので、稽古を仕りたく存じ奉ります

一 四月 五月 六月 七月 八月 九月
   右6ヶ月は農繁期でございますので、稽古を見合わせたく存じ奉ります

右は農兵のお取立てについて、当ご支配所組合の村々の人数その他を取り調べ、
書面の通りのことでございます。以上。

   文久3亥年11月       当御代官
                     武州多摩郡蔵敷村名主  杢左衛門                     
                     同郡上新井村 同      市右衛門

 江川太郎左衛門様御手附
            柏木捴蔵様
 御同人様      御手代
            三浦剛蔵様

『私(杢左衛門)曰く、農兵一条は別段に控えておくので、詳細は農兵一条を書いた
紙を開いて見ること』(朱書き)                                 」


農兵の訓練は農業が暇になる秋冬だけで、忙しくなる春夏はできませんよと釘を刺して
いるところが注目ですね。
これは前回の記事で、農兵が使う銃については無料で貸し与えるべきと幕府に進言
していた代官所の書状と合わせてみると、その背景にある形がなんとなく見えてきます。

農兵政策は代官所にとっては先々代からの悲願。また、農民たちにとっても治安維持の
ため、自らの生命・財産を守るために必要な措置でした。
代官所は農村に強制的に農兵政策を押し付けたわけではなく、かなり時間をかけて
村々が納得する形でこの政策を海面下で進めていたように思えるのですが、みなさんは
どう思われましたでしょうか?

さて、上の文書の最後に朱書きで書かれた部分も気になります。
農兵一条・・・それが代官所と村々が交わした農兵取立について、両者で取り交わした
約束事のように思えるのですが・・・。
コチラは長くなりますので、また次回に。

メガ63


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