前回の続き。
江川代官屋敷のすぐ近くに
大成山本立寺があります。
江川家の墓所がある、日蓮宗のお寺です。

この日は土曜日で、代官屋敷の方はそこそこ観光客・見学者がいましたが、お寺の方は我々
以外全く墓参者がいませんでした。
まぁ、マニア以外、ほとんどの人はお墓には興味がないのかな?
但庵先生の石造も待ってくれています!(注! これはお墓ではありません!)
日野などに行くと、土方歳三資料館(実家)とお墓(石田寺)はセットでみんな両方行きます
けどねぇ・・・。
本堂の脇の坂道を上がっていくと、左手に江川家の墓所があります。
かなり広い範囲に渡って江川家墓所があります。寺伝では江川家6代目がこのお寺を開山し、
坦庵さんは36代目ですから、墓域は広くて当然です。
その一番奥に坦庵さん・・・
太郎左衛門英龍の墓があります。

その向かいと隣りには、坦庵さんの2人の息子で37代当主と38代当主を務めた
英敏、
英武の墓もあります。

英敏墓

英武墓
当ブログは農兵の話とか多いので、その頃の代官といえば英武さんになります。
江川家当主のお墓は、基本的に全てこの形ですね。
円柱の上に屋根が付いた墓石です。
で、おそらく妻や娘なのでしょうか。女性(戒名が大姉)のお墓は角柱でした。
車に乗りまして、次はいよいよ
韮山反射炉へ向かいます。

世界遺産に登録された直後は、行列ができてゆっくり見られない状態だったそうですが、
すっかり落ち着きを取り戻したようで、この日(15時頃)も観光バスは1台だけ駐車場に
止まっているだけでした。お昼頃はもっと混んでいたのかな?
反射炉は見る角度によって2基に見えたり、3基に見えたりしますが、実際には4基あります。
この角度からだと、よく分かります。

お土産ショップの前にいらっしゃいます坦庵先生越しの反射炉。
煙突が4本見えますね。
そう、煙突なんですよ!
韮山反射炉っていうと、この天に伸びた建造物が写真などでも紹介されますが、コレは
あくまで煙突なのです。
肝心の反射炉は、その下の部分です。

コチラが反射炉の本体。
右側の穴が「焚口」といって燃料を入れるところ。左側が「鋳口」で材料となる銑鉄をここから
入れます。炉の中は煉瓦でドーム状に作られていて、その中で熱が反射して炉内が高温に
なるという仕掛けだそうです。
今回の同行者に金属を扱う仕事をしていた方がいらっしゃって、詳しく解説してくれました。
Tさん、どうもありがとうございました!
それと、反射炉の煙突は現在鉄骨で補強されていますが、「元々こういうもの」と思って
いらっしゃる方も多いようです。

上の写真を見ていただければわかるように、本来は煉瓦を組み立てただけのものです。
補強を重ねていくうちに、あんな鉄骨で囲まれた形になったという次第。
反射炉でできた鉄を使って作ろうとしていたのがコレ。
カノン胞です。砲身の長い大砲で、水平に長い距離を弾丸が飛んでいきます。
これをお台場などに取り付けて、外国船からの防御に当てようとしたわけです。
写真の大砲は24ポンド・カノン砲。オリジナルのものではなく、当時の図面を基に再現した
ものだそうです。
でも、コチラは当時のホンモノ。反射炉手前の資料館にあります。
モルチール砲です。
臼みたいな形をしてるので「臼砲」ともいいます。
鉄ではなく銅でできています。
こんな砲身の大砲で、相手まで届くのかい?なんて思っちゃいますよね。
確かに弾丸は山なりに飛び射程距離は短くて、海岸からは外国船を攻撃するには向いて
ないようです。
ところがどっこい大作、戊辰戦争では意外にコイツが活躍するんですね。
日本の土地は山が多く、開けた所が少ないので、城攻めにはカノン胞よりモルチール砲の
攻撃の方が都合がよかったようなんです。会津の若松城に砲弾の雨を降らせたのは、この
モルチール砲だったそうです。
ところで、韮山周辺を車でまわって初めて知ったのですが、江川太郎左衛門以外にも、史跡
のなんと多いことか!
源頼朝が平清盛によって流された蛭が小島がこの辺りだったというのを、初めて知りました。
「小島」なんていうくらいだから、海の近くかと思っていたのですが、全然違っていました。
畑や住宅地の真ん中、公園になっているような場所になってるんですね。
ということで、近くには「北条政子の産湯の井戸」とか北条時政のお墓のある「願成就院」など
鎌倉北条氏関連の史跡が多いこと!
さらに、室町時代の堀越公方の館もこの場所にあったというのも初めて知りました。
願成就院には足利茶々丸のお墓もあるんですね。
鎌倉時代、室町時代、そして幕末と、日本史の重要なポイントの舞台に韮山が絡んでいたの
ですね~。
しかし、しかし、今回の旅行では時間がなくて残念ながら伊勢宗瑞(北条早雲)が居城にした
韮山城跡に行けませんでした。さらに願成就院の運慶作仏像も観られませんでした。
これらはヒジョーに心残りであります。
いずれまた訪れて、リベンジすることにいたしましょう。

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とても懐かしく拝見しました。本立寺は山門からちっとも変わらない様子で、安心しました。広範囲を治めた代官としては質素な墓域ですが、雰囲気は堪能されたと思います。
最後に訊ねたのは、もう10年も前になりますが、反射炉も変わっていなくて、良かったです。これから様々に保存や解説のために手を入れるのでしょうがこの素朴な形はそのまま残してほしいものです。
韮山城は雨の日も良かったです。天候にこだわらずに楽しんで下さい。イッセイさんのように車で移動できるのは羨ましい限りです。
本立寺の江川家墓所は仰るように飾り気のない所でしたが、整然ときれいにされていて、人々から今も尊敬されていることを感じさせました。
反射炉は世界遺産景気で一時は5分と見られない状態だったそうですが、今は落ち着いてゆっくり見学できました。反射炉でも代官屋敷でも感じたのはボランティアガイドが積極的に活動している姿でした。町の財産を誇りにし、伝えようとする姿は観光ガイドをする上でも参考になりました。
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